ハーフ・ザ・スカイ [著]N・D・クリストフ、S・ウーダン/告発・現代の人身売買 [著]D・バットストーン[評者]久保文明(東京大学教授・アメリカ政治)[掲載]2011年1月30日著者:ニコラス D クリストフ・シェリル ウーダン・Nicholas D. Kristof・Sheryl WuDunn 出版社:英治出版 価格:¥ 1,995 ■強制的売春という現代の奴隷制 現在、この世界に奴隷制は存在するのであろうか。二つの本によれば、躊躇(ちゅうちょ)なく「イエス」である。しばしばその中核的な問題は強制的な売春である。その数が多いのは、インド、パキスタン、イランなど。 どちらの本の焦点も、合意のもとで行われる売春ではない。貧しい国の農村から親によって売られ、あるいは暴力組織によって騙(だま)され、または誘拐されて、売春組織に送り込まれ、そこで抵抗する気力を完全に失うまでに暴力と麻薬によって
戦後日本漢字史 [著]阿辻哲次[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)[掲載]2011年1月30日著者:阿辻 哲次 出版社:新潮社 価格:¥ 1,260 ■漢字の歴史を辛辣に俯瞰 本書は一研究者の漢字論である。戦後にアメリカから訪れた教育使節団は、日本人にとって漢字習得には時間がかかるし、封建制を強要するものだとしてローマ字化を促した。日本の国語学者はいかに日本人の識字率が高いかの全国テストを行い、その数字をもって抵抗した。もっとも日本にもローマ字論者がいたが、とにかくアメリカ側の強要は受け入れなかった。 それから現代のパソコン、ワープロまでの漢字の歴史を辛辣(しんらつ)な筆で俯瞰(ふかん)する。戦後の漢字改革として、たとえば当用漢字(千八百五十字)の制定などには批判を浴びせる。千年余の歴史をもち、今なお東アジアで用いられている漢字を現代的視座だけで決めていいのか。さらに漢字を勝手に、た
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