数の魔力——数秘術から量子論まで、ルドルフ・タシュナー著、鈴木直訳、2,940円(税込)、単行本、288ページ、岩波書店、2010年5月 言うまでもなく、我々技術者は理系人間である。理系育ちなのだから、文系人間とちがって幼少のころから算数や数学が得意だった。かけ算も分数も、人より素早くすいすい計算できたし、二次元方程式も三角関数もすんなり理解できた、はず。だが、我々は本当に「数」を理解していたのだろうか。教えられた通りに公式を覚え、ただ数字を当てはめる作業を繰り返してきただけではないと言い切れるだろうか。 いま一度、「数」が織りなす、この素晴らしい世界を覗いてみよう、という主題で書かれたのが本書『数の魔力』である。本書の八つの章では、ピタゴラス、バッハ、デカルト、ラプラスなどの哲人の業績を紹介しつつ、各人が「数とは何を意味しているのか」を追究した過程を解説してくれている。 第1章「ピタゴラ
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