→紀伊國屋書店で購入 「「揺らぎ」と「非揺らぎ」のはざまで」 9.11の同時多発テロが欧米の作家にとっていかに大きな出来事だったかは、事件後に書かれたいくつかの作品を読んでみるとわかる。書評空間でも、これまでイアン・マキューアン『土曜日』(2008年1月14日)、クレア・メスード『ニューヨーク・チルドレン』(2008年5月14日)の2冊を取り上げた。 欧米の作家にとって、小説の舞台を事件以前にするか、以後にするかは大きな決断だろう。それによって書く内容が影響される。直接事件に触れなくても、執筆にむかう意識が左右されるように思う。 日本の作家が彼らほどには影響されないことを思うと、やはりこの国は「極東」なのだと感じる。「極東」というのは、言うまでもなく欧米サイドの距離感だが、それは私たちのリアリティーとも密接に関わっている。いくら生活が欧化され、飛行時間が短くなり、インターネットが発達しても