5年にわたって被差別部落出身の男性に送りつけられたおぞましい差別ハガキ44通。逮捕された犯人は、涙を流して助けを求めた被害者本人だった。複雑に歪んだ現代の「部落差別」の構… どん底―部落差別自作自演事件 [著]高山文彦 最初のはがきが届いたのは2003年12月初旬だった。 ――被差別部落出身の町役場の職員を辞めさせよ。 はがきには、そうした趣旨のことが書かれていた。 その後、5年にわたって計44通の差別はがきが職員の自宅や勤め先に届いた。 この間、職員は、各地の集会や研修会で差別への怒りと悲しみを訴えた。 「みなさんのこの怒りが、うねりとなって、犯人に届くことを願っています。ハガキの差出人は、自分の行為がどんなに醜く、恥ずかしく、あなた自身の心や家族を不幸にしているのか考えてみてください」「不合理な差別をともになくしていきましょう」 涙を流して職員は訴えた。「悲劇のヒーロー」に向けて拍手と
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