梅毒の正体を知るために患者の膿を自分に塗布した医師、サナダムシを飲まされた死刑囚、爆発に身をさらし続けた博士…。常識を覆すマッドな人体実験を紹介する。【「TRC MARC… 世にも奇妙な人体実験の歴史 [著]トレヴァー・ノートン [訳]赤根洋子 ピロリ菌、という名称を私たちが耳にしたのは、そんなに昔のことではない。十二指腸や胃の潰瘍(かいよう)の元凶とされる細菌である。酸性の強い胃の中で生きられるはずがない、と言われていた。潰瘍の原因はストレスや喫煙や誤った食生活や酒だとされてきた。 オーストラリアのバリー・マーシャルとロビン・ウォレンは共同で研究し、ピロリ菌を発見、これが潰瘍に関与しているのでは、と疑った。マーシャルは自らピロリ菌を飲んで確かめた。案の定だった。ピロリ菌を除去すれば快癒することを証明したが、一般の病院で治療が行われるようになったのは、マーシャルの実験から十三年後である。彼
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