東電OL事件―DNAが暴いた闇 [著]読売新聞社会部 東電OLを殺害したとして無期懲役に服していたネパール人のゴビンダ氏が、先頃、DNA鑑定という新証拠を得て再審無罪となった。本書は、先行して報道を続けた読売新聞取材班の足跡をまとめたドキュメントである。 背景に、DNA鑑定が精度を高めていく歳月があった。事件が起きた97年当時は鑑定の「過渡期」で、鑑定結果が別人と一致する確率は2万余人に1人程度であったのが、新検査法の導入で4兆余人に1人まで高められてきた。 警察署の冷凍庫で眠っていた、被害者の体内精液を採取したガーゼから割り出された型はゴビンダ氏とは一致せず、現場に残された1本の体毛とは一致した。すなわち、ゴビンダ氏以外の容疑者がいることを濃厚に示唆している——。検察がこの新証拠の開示を行うかどうか不明であった時点で、読売が記事化し、再審開始への注目度が増すこととなった。 事件から15年
高校の時に取った微積分クラスのジョフリー先生はちょっと風変わりな人だった。「木につながれた山羊がたどる渦巻きの方程式を求めよ」なんて愉快な問題を出し、優秀なかつての教え子をヒーローのごとく語る。数学者となった著者が先生との30年におよぶ文通を通して、二人の交流と人生をたどる異色のエッセー。 互いの様子にはまるでふれず、手紙の話題は数学の問題ばかり。「分岐」「カオス」「無限とリミット」等々、そのエレガントな解法について楽しげに書き送る。手紙とともに進んでいく著者の人生は、不思議なほど数学に重なる。医者か数学者か進路の選択に悩み、結婚生活の破綻と混乱、先生が卒中に倒れて、命に限りがあることに初めて気づく──。平凡な、だからこそとても人間的な心の軌跡が深い共感をよぶ。 長年の親友でありながら弱さや迷いを見せられずにいた著者は、30年たって、ようやく心の奥を語りあう。二人の会話にじんと胸が熱くなる
12月25日の怪物 謎に満ちた「サンタクロース」の実像を追いかけて 著者:高橋 大輔 出版社:草思社 ジャンル:歴史・地理・民俗 12月25日の怪物 謎に満ちた「サンタクロース」の実像を追いかけて [著]高橋大輔 幼い頃クリスマスイブはサンタの到来を心待ちにして眠った。年頃になると同じ夜が“恋人たち”のものになる。宗教心があるわけでもないくせに! ひょんなことからサンタの由来を解明しようと決めた時点で、著者はそう感じていたようだ。 サンタクロースのモデルは、4世紀トルコの聖ニコラウスだという。その信仰が欧州に伝えられ、オランダ人がアメリカに持ち込み、コカコーラの宣伝とともに世界に広がったというのが通説。トルコ、オランダ、アメリカを旅した著者は、聖ニコラウス祭で「よい子」に贈り物を与える習慣が、聖人崇拝を否定するプロテスタントの台頭によってクリスマスに統合された経緯などを発見する。そして根本
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く