タグ

2014年1月7日のブックマーク (6件)

  • 『シンメトリーの地図帳』 マーカス・デュ・ソートイ (新潮社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 今回、途中で放りだしたのも含めると群論関係のを13冊手にとったが、1冊だけ選べといわれたら、迷わず書を選ぶ。わかりやすいというだけでなく、文章に含蓄があり、天才たちのエピソードの紹介にも人間的な奥行が感じられるのだ。書は数学の啓蒙書を超えて一個の文学作品になっているといっていいだろう。 著者のマーカス・デュ・ソートイは現役の数学者で、群論と整数論を専門にしている。BBCの科学番組にたびたび出演していて(未見であるが、NHKから「オックスフォード白熱教室」として放映されている)、最初の著書『素数の音楽』は世界的なベストセラーになった。 書は数学者の一人語りの体裁をとっていて、40歳の誕生日の2005年8月から翌年7月までの1年間の出来事――家族旅行で訪れたアルハンブラ宮殿に平面で可能な17種類のシンメトリーを探したこと、沖縄で開かれた群論の小さな学会、共

    『シンメトリーの地図帳』 マーカス・デュ・ソートイ (新潮社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
  • 『シンメトリーとモンスター』 マーク・ロナン (岩波書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 群論の研究者が書いた一般向けのだが、内容はかなり高度である。 日版の副題は「数学の美を求めて」だが、原著では「もっとも偉大な数学の探求の一つ」となっていて、著者自身が参加した「アトラス(地図帳)計画」をさす。 群論を開拓したガロアは群を部分群に分解していくと、それ以上分解できない単純群と呼ばれる特別な群に行き着くことを発見した(単純群とは整数論における素数のようなものといえるかもしれない)。「アトラス計画」とは、この単純群をすべて分類しつくそうという壮大な計画で、1960年代にはじまった。当初は終わりがあるのかどうかもわからず、すくなくとも20世紀中には終わらないだろうと言われていたが、1980年頃には終わってしまい、1985年から電話帳のような『アトラス』の刊行がはじまった。 めでたしめでたしと言いたいところだが、探求の過程で「モンスター群」と呼ばれる巨

    『シンメトリーとモンスター』 マーク・ロナン (岩波書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
  • 『もっとも美しい対称性』 イアン・スチュアート (日経BP社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 書の表紙には左右対称の美しい蝶の写真が大きくレイアウトされている。原題は Why beauty is truth: The story of Symmetry(なぜ美は真実か――対称性をめぐる物語)で、エピグラフに掲げられたキーツの詩の「美は真なり、真は美なり」にもとづく。 著者のイアン・スチュアートは『世界を変えた17の方程式』や『パズルでめぐる奇妙な数学ワールド』などの一般向け数学書を書いている数学者だ。 著者はガロアの群論によって対称性がはじめて数学の問題になったと評価している。 ガロアより前、この質問(対称性とは何か)に対するどんな答えも、漠然として内容がなく、均衡の美といったような特徴に訴えるものだった。筋道立てて数学を進めていけるような概念ではない。だがガロア以降、そして数学界が彼の特定の応用法に隠された一般的な考え方を理解して以降は、疑う余地の

    『もっとも美しい対称性』 イアン・スチュアート (日経BP社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
  • 『なぜこの方程式は解けないか』 マリオ・リヴィオ (早川書房) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 題名は『なぜこの方程式は解けないか』となっているが、方程式にふれているのは9章のうち3~5章で、全体の1/3ほどにすぎない。それ以外はすべて群論と対称性の話で、量子力学から生物学、さらには宇宙論にまで話がおよぶ。群論はそれほど射程が広いのだ。 著者のマリオ・リヴィオは宇宙物理学者だが、『黄金比はすべてを美しくするか?』という一般向け数学書で国際ピタゴラス賞とペアノ賞を受賞していて、才筆には定評があるようだ。 群論に関する欄でとりあげなかったものも含めて何冊か読んだが、情報量は書が飛び抜けて多く、トリビアが機関銃のように連射される。対称性がテーマだけに章題を 対称性を見る心の目 と鏡字で記すなど遊び心にあふれている。 第3章「方程式のまっただ中にいても忘れるな」ではメソポタミア文明から16世紀のヨーロッパまでの方程式の研究史が駆足でたどられるが、タルター

    『なぜこの方程式は解けないか』 マリオ・リヴィオ (早川書房) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
  • 『13歳の娘に語るガロアの数学』 金重明 (岩波書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 方程式の研究は16世紀に急激に進んだ。まず3次方程式の解法が発見され、すぐに4次方程式が解かれた。次は5次方程式だが、多くの数学者が挑戦したもののどうしても解けなかった。そこで解けない理由があるのではないかという疑いが出てきた。 5次方程式が加減乗除と√では解けないことを証明したのはノルウェイのアーベルだが、どういう方程式なら解けるのかという証明がまだ残っていた。 方程式の問題を最終的に解決したのは17歳のガロアである。彼は単に方程式が解ける必要十分条件を示しただけでなく、証明の過程で無限の問題を有限のモデル(群)に落としこんで解決する手法を編みだした。これがガロア理論で、現代数学のもっとも強力なツールとなっている。 今日大学でガロア理論をとりあげる際は、アルティンの『ガロア理論入門』(ちくま学芸文庫)のように、まず抽象化された群論を教え、最後にその応用として

    『13歳の娘に語るガロアの数学』 金重明 (岩波書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
  • 『ガロアの時代 ガロアの数学』時代篇&数学篇 彌永昌吉 丸善出版 - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →『ガロアの時代 ガロアの数学〈1〉時代篇』を購入 →『ガロアの時代 ガロアの数学〈2〉数学篇』を購入 百歳の天壽をまっとうした日を代表する数学者が93歳と96歳の時に上梓したである。こういう言い方は失礼かもしれないが、よくある回想録の類ではなく、原資料や最新の研究にあたって書かれた格的な著作である。文章はきびきびしていて無用のくりかえしはない。90代半ばにしてこれだけの文章が書けるとは。かくありたいものだ。 書はガロアの生涯を描いた「時代篇」と業績を解説した「数学篇」の2巻からなる。 「時代篇」は4章にわかれ、各章の末尾には簡単な年表がついている。 第1章「時代背景 政治史から」は25頁ほどの簡単なものだが、ガロアが在籍したルイ・ル・グラン校やエコール・プレパラトワール、入学を果たせなかったエコール・ポリテクニークについてまとめられているのはありがたい。 エコール・ポリテクニーク

    『ガロアの時代 ガロアの数学』時代篇&数学篇 彌永昌吉 丸善出版 - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG