東京の都心から南へはるか1250㎞。ここで日米両軍が繰り広げた死闘は、クリント・イーストウッド監督の傑作映画にも描かれ、世界中によく知られている。一般人が観光で訪ねることのできないこの小さな島に、ひょんな偶然で行けると知った「私」が見たものとは──。「世界でいちばん遠い島」への探訪ノンフィクション。 職業も年齢もバラバラの人たち 今から8年前のことである。 2月のある寒い日の朝、私はアルバイトの面接を受けるため、東京・市ヶ谷にあるホテルを訪れた。ロビーで待ち合わせていた友人の山田君は先に来ており、スーツを着ていた。私はジャケットを羽織っているものの、カジュアルな格好だ。 やがて、宮川さんという私たちと同年代の男性が、いつものように穏やかな笑顔で現れた。山田君と私をこのアルバイトに誘ってくれた人物だ。私たちは「おはようございます」と挨拶して、3人で面接会場の部屋に向かった。 市ヶ谷には以前、