「ヤマ」とはサンスクリットで双子を意味する。インド・イラン(Indo-Iranian)共通時代にまで遡る古い神格で、『アヴェスター』の聖王イマ(中世・近世ペルシア語でジャム、あるいは「輝けるジャム」の意味でジャムシードとも呼ばれる)や北欧神話の巨人ユミルと同起源である[1][2]。 『リグ・ヴェーダ』10.10の「ヤマとヤミーとの対話」は、ヤマとその妹ヤミー(Yami)の双子の兄妹による会話体の作品である。ふたりはヴィヴァスヴァットの子で、母はトヴァシュトリの娘サラニュー(英語版)とされる。この作品においてヤミーはヤマに子孫を残す必要性を訴えて結婚を迫るが、ヤマは兄弟姉妹婚がミトラ神とヴァルナ神の定めた天則に沿わない行為だとして拒む[3][4]。なお辻直四郎によれば、この対話形式の讃歌は人類の起源を説明しているものの、詩の作者が近親相姦という倫理に反する表現を回避しているという[3]。 彼