気候変動の議論は、7月の洞爺湖サミット(主要国首脳会議)での中心的議題の一つとなっており、日本においても排出量取引導入の是非など、日に日に関心が高まっている。その際の論調を見ていると、欧州で展開されている議論をそのまま持ち込んでいるケースが少なくないのでは、と思われる。 それでは、日本が“お手本”としている欧州内の議論は、一枚岩で盤石なのであろうか? 実は、欧州においても、気候変動についてはさまざまな議論がなされており、決して型にはまったものではない。 「危機に晒されているのは気候変動ではない、自由である」 2007年6月14日、刺激的な見出しが英フィナンシャルタイムズ紙を飾った。チェコ共和国の現職大統領であるヴァクラブ・クラウス氏が気候変動問題について寄稿したのである。同大統領は、目下、先進国をはじめ各国の共通課題となっている気候変動の問題を「プロパガンダが真実となってしまった典型