皆さんは「紙芝居屋」さんをご存知でしょうか? 紙芝居を積んだ自転車をこいで、公園などで「チョーン、チョーン」と拍子木を叩くと、子供たちが10円玉を握りしめて集まってきます。その10円を払うと、紙芝居を見る権利と飴玉などのおやつがもらえるのです。 子供たちは皆、飴玉で頬を膨らませながら、体育座りで紙芝居に没頭する――昭和の時代まではこんな光景をよく見かけました。 「プロの紙芝居師」ヤッサンこと安野侑志さんは、「60歳になったら紙芝居屋でもやりたいな」と漠然と抱いていた夢を、28歳のときに「超」前倒しで叶え、以来、2012年に亡くなるまで40年間、紙芝居道一筋で突き進んできました。 紙芝居屋を始めるときは、みんなに「そんなもので食べていけるはずがない」と失笑されたそうですが、「“紙芝居は昔懐かしいもの”ではだめだ!時代に合わせて進化させなければ」と言葉のない紙芝居、オペラ紙芝居などさまざまなチ