19世紀初頭、化学者たちは鉱物学に興味を抱きました。ニオブは、この時代に発見された元素の一つで、その経緯はバナジウムにとても似通っています。すなわち、両者はほぼ同時期に最初の発見者によって見出され、化学的な論争の過程で再発見されたのです(バナジウムについてはココをクリック)。ニオブの歴史をたどってみましょう。 ニオブの最初の発見 大英博物館を創設したH.スローン卿は王立協会会長で、名だたる収集家でもありました。スローン卿は同館に書籍、美術品、鉱物など自身の収集品を寄贈した一人で、アメリカに居る彼の知人のJ.ウィンスロップ二世もまた、600点を超す数の鉱物を同館に寄贈しました。 鉱物への興味が高まる中、ロンドンのC.ハチェットは、大英博物館が収蔵する鉱物標本を同定・整理し目録を作成する仕事をしていました。その過程で、クロム鉄鉱(組成は(Fe,Mg)Cr2O4)に外観が似ているもののクロムを含