動物は、生活の様々な場面で方向や距離を知らなければならない。例えば敵が近づいてきたとき、敵の方向と距離を瞬時に計測し、逃避するか攻撃するか、行動を決定する。対象物が餌や異性などの資源であった場合にも、方向と距離の情報は重要である。すべての動物は方向と距離の情報を処理し利用しているといえるが、なかでも、遠距離の目標に定位する動物の方向と距離の計測能力は多様である。動物は方向と距離を知るために、種々の外部環境の情報や運動感覚に基づいた情報を使う。 定位 動物は、空間内の特定方向に体軸を定め、一定距離を移動することで目標や目的地に到達する。この行動を「定位」と呼ぶ。目的地に動物が直接知覚できる明確な対象物が存在する場合、動物は対象物と体軸がなす角度によって目的地の方向を知ることができ、また対象物がもつ刺激の強度などの属性によって目的地までの距離を知ることができる。しかし、目的地が遠距離にあった場