かつて札束列車「マニ30」は現金をギュウ詰めにして運びました。しかし鉄路はほかにもさまざまなものを運んできました。 都市部の屎尿処理問題 現在、東京都では下水道整備率が100%に達し、水洗トイレも完備して街中でバキュームカーを見かけることは無くなりました。地方の農山村ではまだ下水道が普及していない地域もありますが、諸外国に比べて日本の整備率は高水準と言ってよいでしょう。 しかし昭和の時代はまだまだそうは行かず、戦前はバキュームカーでさえ珍しかったのです。その頃の屎尿処理はどのように行われていたのでしょうか。 江戸時代、都市部で排出される屎尿は下肥として、時には利権争いが発生するほどの貴重な資源でした。近郊のお百姓が野菜のおまけつきで買い取りに来たり、河川を利用した屎尿運搬専門の船も運行されます。 江戸の終わりごろまではこの利用サークルが機能していたのですが、明治・大正・昭和と時代が進み、化