ガッツポーズはしなかった。これまで良い演技ができたときは自然と拳を握り、雄たけびを上げていた。しかし、今回は意識的にそれを避けた。なぜなら、町田樹(関西大)にとって、この日滑った『エデンの東』が自身最高傑作となったからだ。ガッツポーズで1つの“芸術作品”を台無しにしたくなかったのである。 3月26日にさいたまスーパーアリーナで行われたフィギュアスケート世界選手権の男子ショートプログラム(SP)は、町田が世界歴代3位となる98.21点をたたき出し、首位に立った。 「今日は不思議と無心になれた」。その言葉どおり、町田は序盤から流れるような演技を披露した。冒頭の4回転トゥループ−3回転トゥループを決めて勢いに乗ると、トリプルアクセルもきれいに着氷。2月のソチ五輪でミスをした3回転ルッツは、高さのあるジャンプで危なげなく跳び切った。「本当に冷静でいられて、音楽の一音一音を聞き漏らすことなく、忠実に
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