このくらく重々しい、それでいてひどくまぶしい、目がくらむようなノンフィクションと出会ったのは月刊誌の連載で、はじめてそれをよんだとき、そこにえがかれていたのは、ナズマという女乞食が、少年マフィアのすむ集合住宅の、配水管のこわれた共同便所で、汚水と排泄物にまみれて障碍者とまじわっている場面だった。その三十絡みのホームレスは少年マフィアのリーダー、ラジャの情婦で、耳あかをほじってはそれを口にはこぶことから、耳くそ女とよばれている。相手はラジャの部下たちで、皆からだのどこかが欠損していた。ストリートでうまれそだったかれらは、物乞いとして稼ぐほかにいきるすべがない。しかし、五体満足ではわずかな施しすらうけられない。そのためたいていはおさないうちにマフィアが、少年になってからはまれにみずからが、その手足を切断し、耳を削ぎ、目をつぶす。ナズマはラジャをあいしていたが「身体の動かない子たち」も「裏切れな