まず日本語版への序文から引用しよう。 スチュワードシップ、つまり企業が適切なコーポレート・ガバナンス(企業統治)、有効な後継者育成計画、そして事業を展開している市場や経済圏にぴったりの戦略を整えられるよう見守ることは、もはや、投資に伴う付随的な役割ではなくなった。投資を行うということは、一義的にスチュワードシップなのだ。英国は過去20年にわたり、諸外国に先駆けてスチュワードシップを開拓し、体系化を進めてきた。これには切迫した、独自の事情もあった。英国は主要国の中で、株式保有のパターンが最も多様なのだ。続いて日本を含め、諸外国も英国に倣った。私の仕事である「ケイ・レビュー」が、日本におけるスチュワードシップ・コードの導入に影響を与えた要因の一つであると知って、光栄に思っている。どの国であれ重要なのは、単にチェックシート方式で形式的なガバナンス手順を確認することが、スチュワードシップであると考