⾒返りが労働と格差、そして戦争だとしたら、 なぜ⼈々は狩猟採集から農業に乗り換えてしまったのだろう ⼤ヒットしたマンガ『ゴールデン・カムイ』(集英社)の功績は、(マンガとしての誇張はあるとはいえ)アイヌ⺠族を「豊かな⽂化を持つ⼈々」として描き、そのイメージを広めたことでしょう。 かつての狩猟採集⺠族には「常に飢えと隣り合わせの貧しい⼈々」というイメージがあり、⼈類は農耕定住⽣活という素晴らしい発明によって、その貧しさから脱したのだというストーリーがまことしやかに語られていました。現代の⽇本でも同様のイメージを持つ⼈は珍しくないでしょう。 しかしマンガの中でも描かれた通り、アイヌの⼈々はコタンと呼ばれる村を作り、チセという家を作って暮らしていました。和⼈との交易があったとはいえ、彼らの経済は基本的には狩猟採集に⽴脚していました。じつのところ狩猟採集と農耕定住とは綺麗に⼆分できるものではなく、