──『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』では、タイトルに「共感」という言葉を使う代わりに「他者の靴を履く」と表現されていますね。どのような思いがあったのかを教えていただけますか。 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(2019)の中で、イギリスの中学に通う息子の言葉を借りて「エンパシー(empathy)」を「自分で誰かの靴を履いてみること」と表現しました。これを機に、書評やTwitter、取材でも「エンパシー」という言葉が多く取り上げられるようになったのですが、250ページ超ある本のなかで4ページしか議論していないこの言葉が、なぜそこまで話題になったのかと疑問でした。 日本では、「エンパシー」は「共感」と訳されることが多いようですが、英語の辞書で語意を調べてみると、他者の立場に立って、その人だったらどう考えるか、どう感じるかということを想像してみるアビリティー=能
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