千葉県館山市の「かにた婦人の村」内にある「噫(ああ)従軍慰安婦」と刻まれた慰霊塔。戦後40年の1985年に建てられた。 房総半島の南端、千葉県館山市の小高い丘の上。きれいに整備された林を抜け、館山の海を一望できるこの場所に着くと、大きくそびえ立つ石碑が見える。その姿は神々しくもあり、少し悲しげにも映る。石碑に彫られているのは、「噫(ああ)従軍慰安婦」の文字。「従軍慰安婦」であったことを告白した城田すず子さんが、館山市にある「かにた婦人の村」の創設者、深津文雄牧師に「慰霊塔」の建立を依頼。深津牧師が1年あまり熟考した後、「二度と繰り返してはならない事実の記憶」として建立した。 晩年をかにた婦人の村で過ごした城田さん。こうした日本人「慰安婦」は、旧日本軍が赴いた戦地の中の「慰安所」に少なからず存在したが、そのことを告白する女性は少ない。城田さんは、その壮絶な体験を『マリヤの賛歌』(日本基督教団