芸人の茂木健一郎が一時アハ体験とか言っていたのが何なのか、ぼくはかれの本や記事を読まないようにしているのであまり知らないんだけど、どうせくだらない話なのは見当つくところ。 だけど、人が何か思いついたときとか、自分でも予想外のほうに考えが向かって、自分の頭が自分を全然知らないところに連れて行ってくれるときの不思議な感覚というのはある。それはいいときもあれば悪いときもある。昔、ウィリアム・バロウズの追悼文を書いているとき、自由を謳歌した成功者バロウズというテーマで文章を書くつもりが、いろいろ書いているうちにどう理屈をこねてもこれはむしろ失敗だったという結論にならざるを得ないことに気がついて途方にくれたときとか。クルーグマンは日本が流動性の罠にはまっていて調整インフレが必要だということを述べた「日本がはまった罠」を書いたときに、もともと流動性の罠なんかあり得ないということを言うつもりで取りかかっ