38 知的資産創造/2016年3月号 特集 要 約 1 日系製薬企業を取り巻く環境は長期的に厳しくなることが想定される。常に特許切れの リスクを抱えるという製薬企業特有の普遍的事情に加えて、研究開発動向の変化や、各 国の財政的制約などによって、新薬を開発することのハードルがますます上昇し、上市 しても過去ほどは大きな売上が期待できないと想定されるためである。 2 日本の製薬業界は、創薬経験がある企業が数十社存在しており、裾野が非常に広いと いう点で、他国とは大きく異なる特徴を有している。こうした企業は、医薬品という領 域において研究開発から製造、マーケティング、営業と一気通貫したバリューチェーン 機能を有していた。しかし、将来的に予想される厳しい環境は、従来、高利益率と謳わ れていた製薬企業の前提条件が大きく変わり得ることを示唆している。従って、今まで のビジネスの延長線上では、厳しい状況