かつて霞が関から「日本は米国に次ぐ世界2位の製薬市場。なぜメガファーマ(巨大製薬企業)が1社も存在しないのか」という嘆き節が聞こえることがあった。この文句は今や二つの意味で古くなった。一つは武田薬品工業が2018年のシャイアー買収で売上高が世界トップ10入りし、メガファーマと呼ぶにふさわしい規模になったこと。もう一つは、市場規模で中国に抜かれ、米中に次ぐ3位に後退したためだ。<本当に強いバイオ医薬> だが、市場規模の割に日本の製薬会社は小粒なメーカーが多いことには変わりはない。各国の製薬企業を売上高の順に並べると、米英独仏スイスなど、化学や薬学の伝統を誇る欧米勢が名を連ねる。武田に次ぐ国内ツートップの第一三共とアステラス製薬ですら、せいぜい20~30位圏に入るかどうか。世界基準では中堅だ。 一方、各社の規模こそ大きいとはいえないものの、日本は優れた創薬技術を持つ「製薬先進国」でもある。業界