名著の条件が人の感情を揺さぶることならば、この本は間違いなく名著だろう。 愛する彼女がいて、日々彼女の愛に感謝して生きている男の人がこの本を読めば、藤沢さんの主張はとても受け入れがたく、腹立たしく感じるものに違いない。 一方で、愛など既に冷めきって、離婚したくて仕方がない憎らしい妻を持つ男がこの本を読めば、 「藤沢さん!よく言ってくれた!」 と立ち上がり拍手を送ることだろう。 この本では、愛とか思いやりとか感謝とか、長年一緒にいた妻への情などの記述は一切ない。 感情を排除して 「その結婚は、金銭的に損するか、得するか」 についてのみフォーカスをあて、結婚の不都合な真実について、多数の事例を挙げて説明している。 このように情を取り除き、物事を損得で説明しようとする姿勢は恋愛工学のアプローチに似ている。 恋愛工学にとっては、女は「できるかできないか」が全てであり、根底にあるのはとにかく自分が得