2019年7月12日 尾崎達哉*1 玄田有史*2 全文 [PDF 1,876KB] 要旨 本論文は、人手不足が深刻さを増す一方、賃金の顕著な上昇が見られない背景について最新データを用いて考察した。労働供給の拡大が収束し非正規雇用の労働市場がルイスの転換点を迎えれば、賃金は今後急速に上昇する。その可能性は世帯所得と留保賃金の高い人々の参入が始まった女性について大きい。引退が抑制され非正規求人の受け皿となってきた高齢者も、団塊世代が70代となり労働市場からの退出が本格化すると、賃金上昇に早晩転じる可能性はある。正規雇用では月給削減を嫌う労働者の心理により、企業は将来の賃下げにつながりかねない現在の賃上げを回避しがちなことが指摘されてきた。そこで毎月の給与に代わって賞与が柔軟な配分をもたらす可能性も検証した。実証分析からは業績の悪化に対しボーナスは大きく下方調整される一方、業績の改善に応じたボー
![(論文)賃金上昇が抑制されるメカニズム : 日本銀行 Bank of Japan](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/29c45017e6233c463562530928f9250c9d170731/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.boj.or.jp%2Fcommon2%2Fimg%2Fcommon%2Fog_img.jpg)