「からゆき」とは元々、日本から海外への出稼ぎ者全体を指す、九州の一部で使われた言葉。それがいつからか、東南アジアなどの現地で娼婦として働いた女性の総称として定着した。その大半は、貧しい生活の中で親たちから売られた女性だったといわれる。密航も含め、船で海を渡った「からゆき」の総数は不明だが、数十万人とする研究者もいる。そのために各地で日本人に対する悪評が立ち、「国辱」と憤激した日本人もいた。一体、彼女たちはどのようにして海を渡ったのか。故郷をはるか離れた異郷の地で、何を目にしたのか――。 文中、現在では使われない「差別語」「不快用語」が登場する。文語体の記事などは、見出しのみ原文のまま、本文は適宜、現代文に直して整理。敬称は省略する。(全4回の1本目/つづきを読む)