チリの水素産業は、「グリーン水素」に特化しているという点で、非常に特徴的なものだ。2020年に発表された「グリーン水素国家戦略(スペイン語)」によって、太陽光と風力を中心とする再生可能エネルギーの豊かさを下地とし、国際的にも競争力を持った価格でグリーン水素の製造・輸出国家となるという大志が示された。その後、2024年4月には「グリーン水素アクションプラン(スペイン語)」が発表され、チリの持続可能なグリーン水素産業の振興に関して、2030年までの具体的な行動指針が示された。投資案件としては、「ハル・オニ」(注1)など、欧州主導のものが先行したが、官民連携による国家プロジェクトとして、水素バスの製造にも着手している。 本稿の前半では、業界団体へのヒアリングを通じて得られた情報を基に、チリのグリーン水素産業の「今」を明らかにする。後半では、チリで水素バス製造を手掛けるリボーン・エレクトリック・モ
