高齢化進展による増加基調の社会保障費を抑制するため、厚生労働省が昨年末に決定した医薬品の公定価格(薬価)の抜本改革に対し、製薬各社の反発が収まらない。日本製薬工業協会の畑中好彦会長(アステラス製薬社長)は「国民皆保険維持は、社会保障全体で議論すべきで、薬価だけで財政の調整をするのは限界に来ている」と指摘し、「革新的新薬の研究開発や安定供給を著しく阻害する」と批判した。 社会保障費抑制では、医療費全体の抜本的な見直しが期待されていたが、医師の診察料は引き上げられる一方で、しわ寄せを被ったのは薬剤費。革新的新薬などの薬価引き下げを一定期間猶予する「新薬創出加算制度」が大幅に縮小され、日本での新薬開発を後回しにする「ドラッグ・ラグ」問題の再燃が懸念されている。製薬各社が新薬開発で従来のように欧米を優先し、日本を後回しにすれば、最新の抗がん剤などが国内で使える時期が遅れる恐れがある。 新薬開発は1
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