トップ > Chunichi/Tokyo Bookweb > 書評 > 記事一覧 > 記事 【書評】 桜は本当に美しいのか 水原 紫苑 著 Tweet mixiチェック 2014年3月30日 ◆人の欲望担わされて [評者]岸本葉子=エッセイスト 花見の宴が盛り上がる中、挑戦的なタイトルだ。遠い昔、桜は山に自生していた。稲作の豊凶を告げる木として、人々は敬い畏れた。関係が一変するのは『古今集』。この時期、公の文芸は漢詩だった。初の勅撰(ちょくせん)和歌集を編むからは、漢詩とは別の独立した美の宇宙を創出しなければ。その中心に据えられたのが、もともと呪力を持つ桜であった。 これより桜は人間の種々の欲望を担わされていく。歌人である著者のこの論考をたどるとき、歌の歴史と桜の運命に読者は立ち合うことになる。 王朝文学、能、歌舞伎、近現代の短歌…。託された欲望を探り出す著者の文章は、知的で張りがあり鋭
![東京新聞:桜は本当に美しいのか 水原 紫苑 著:Chunichi/Tokyo Bookweb(TOKYO Web)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/117f8c841d1f8141f7f8512d68e682a0fcd5b380/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fwww.tokyo-np.co.jp%2Farticle%2Fbook%2Fshohyo%2Flist%2Fimages%2FPK2014033002100090_size0.jpg)