新型コロナウイルス(COVID-19、以下、新型コロナ)感染拡大による不織布マスクの需要急増に対応し、シャープなど他業種からのマスク生産参入が相次いだ。その多くが緊急事態に対応した一時的な措置としていた中で、アイリスオーヤマ(仙台市)は20年3月という早い段階で、国内工場に設備を新たに設けてマスク生産を国内回帰させ、大規模な増産を実施すると表明して注目を集めた。同社はその後、国内生産の計画規模を拡大、材料である不織布の生産まで自社で手掛けると明らかにするなど攻めの姿勢を崩さない。 新型コロナ以前の不織布マスクはその多くが中国の工場で生産されていた。アイリスオーヤマも例外ではなく、大連工場(遼寧省)と蘇州工場(江蘇省)から日本向けに8000万枚/月を供給していた。新型コロナの収束で中国の生産体制が復旧する中、元の体制に戻すのではなく、なぜ国内への生産回帰や増強にこだわるのか。同社代表取締役社