1 研究の目的 所得税法は、所得をその源泉や性質に応じて10種類に分類し、各種所得の担税力の相違等に着目して計算方法を定めており、各種所得金額の計算上生じた損失の金額(以下「所得の赤字」という。)についても所得の種類ごとにその取扱いを異にしている。また、資産に係る損失(以下「資産損失」という。)については、その資産が各種所得のいずれに関連するかによって課税上の取扱いが異なっている。したがって、いわゆる金融商品について生ずる資産損失についても、その果実が各種所得のいずれに分類されるかにより、当該各種所得に関連する資産に応じた損失の取扱いが適用されることになる。 金融商品から生ずる所得の課税に関しては、従来、例えば、所得税法上雑所得等に該当する「金融類似商品」から生ずる所得や、一時所得に該当する懸賞金付預貯金等の懸賞金等については、利子所得と対比した場合の中立性の観点から問題が認識され、10種