古代より、人間は神を恐れ、敬い、崇めてきた。 神が人間の手によって偶像化、あるいは劇画化される前、「神」とは自然的な存在であった。それは炎であり、風であり、雨であり、そして雷であった。だとしたらこの事故は、愚かなる人間に対する神の神罰だったのかもしれない。 1769年8月18日、イタリアのヴェネチア近郊の都市ブレシアにてその悲劇が起こった。聖ナザロ教会に雷が落ちたのである。雷の性質上、これは別に珍しいことではない。雷は特性として高い場所に良く落ちる。中世ヨーロッパにおいてもっとも高い建物は大抵が教会だったため、必然的に教会に雷が落ちたのだ。そのため、過去の事例として時刻にあわせて鐘を鳴らす鐘係が落雷を受けて命を落とすことが多々あったようだが、その日、聖ナザロ教会に落ちた雷はまるで神の怒りのごとく破壊をもたらした。 なんと、聖ナザロ教会が大爆発を起こしたのだ。紅蓮の炎が黒煙をまとって膨張し、