「カラスの刺し身を食べに来ませんか?」。取材で知り合った男性から誘われ、のけ反った。県内の一部地域に伝わる食文化とのことだが、水戸支局在勤四年目にして初めて聞いた。ジビエ(野生鳥獣肉)料理は嫌いでないし、実はカラスも焼き鳥ならぬ「焼き烏(からす)」なら試したことはあるのだが、生食となると話は別。悩んだ末、「やめた方がいいんじゃないか…」と心配する上司をよそに、好奇心が勝って行ってみることにした。さて、お味の方は−。(宮尾幹成)
2023〜24年度の生活保護費について、厚生労働省が、世帯構成別に据え置きか増額の方針を決めた。物価高を考慮したという。ただ、それに先立ち、生活保護の基準見直しを議論した同省の部会では、多くの世帯で引き下げにつながりかねない検証結果が出ていた。弁護士ら支援団体は、検証方法を改めるよう求めている。社会保障の「最後のとりで」とされる生活保護の基準は、どうあるべきか。(中山岳) 「年明けから、よく買うもやしが1袋当たり10円ほど値上がりした。安いお店を回ることも体力的にできなくなってきている」。大阪市旭区の小寺アイ子さん(78)は、物価高のつらさを口にする。心臓や肝臓などの病気を患ったことをきっかけに、13年から生活保護を受けている。受給額は月約11万円。ここから家賃4万3000円や、食費、光熱費などをまかなうため、生活のゆとりは全くない。 電気代を節約するため日中は照明をつけず、エアコンの暖房
内装工事業スリーエスコーポレーション(本社・京都府宇治市)でアルバイトとして働く人たちがつくる労働組合は9月30日、東京都内で会見し、「賃金など待遇が差別的」と正社員化を求めてストライキを実施していると明らかにした。正社員化を求めたストは異例という。 組合によると、10人はマンションなどの内装作業の現場責任者として、正社員と同じ仕事をしている。長く勤める人が多く、5年以上同じ企業に勤めると無期契約に転ずる権利が発生するルールにもとづき全員が無期雇用となった。しかし、その後も会社はアルバイトとして扱っているという。賞与も支給されず、給与も一時間1800円の時給制で、年収は他の正社員に比べ3割から5割程度低いという。 団体交渉で正社員化や待遇改善を求めたが、会社側は「愛社精神がない」と要求を拒否。組合はストライキを実施した。組合代表の大橋翼(たすく)さんは「会社にいくら貢献しても一生アルバイト
「民主主義の危機だ」。26日夕、新宿駅西口で行われた反対集会に参加した看護師の宮子あずささんは、壇上でこう声を上げた。岸田文雄首相が、銃撃事件から約2週間で早々に国葬開催を決定した経緯に怒りが収まらない。「丁寧な説明と言いながら、まともに説明していない。選挙で選ばれた国会を無視して何でも決めるのは独裁だ」 事件によって安倍元首相をはじめとする自民党と旧統一教会との長く、深い関係が白日の下にさらされることになった。「安倍氏の言葉は、宗教右派の言葉を反映したものであり、そこに確固たる国家観はなかった」と批判する。集会には、仕事帰りのサラリーマンや若者も多く足を止め、反対派の主張に耳を傾けた。宮子さんは「みんな今回の国葬決定は一線を越えていると思っている」と話す。
英国以外で英国王を元首とするのは14カ国あり、中米カリブ海地域にはジャマイカやバハマなど8カ国が集中している。8カ国はいずれも英国の植民地から独立しており、英国が関与した黒人奴隷貿易や経済的搾取といった負の歴史の影響も受ける。 英ITVニュースによると、このうちアンティグア・バーブーダのブラウン首相は11日、3年以内に立憲君主制を廃止して共和制を選択するかどうかの国民投票を実施する意向を表明。「敵対行為ではない。真の主権国家になるための最終ステップだ」と述べた。 米政府系メディア「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」によると、セントルシアにも同様に国民投票を目指す動きがあるという。VOAは、ジャマイカでは8月の世論調査で56%が英国王を国家元首とするのをやめることに賛成していたと指摘。「(多くの国で)女王の死は間違いなく転換点になる」とする識者の見方を伝えた。
7月に行われた安倍晋三元首相の葬儀に陸上自衛隊の儀仗(ぎじょう)隊が参列したのは、戦後の首相経験者の家族葬では初めてだった。防衛省が本紙の取材に明らかにした。防衛省・自衛隊の弔意表明の一環として、安倍氏の遺族の意向を確認し、防衛相の指示で行ったと説明している。当時の防衛相は安倍氏の実弟の岸信夫氏だった。 政府がかかわった首相経験者の公的な葬儀は、1967年の吉田茂氏の国葬以降、2020年の中曽根康弘氏の内閣・自民党合同葬まで11回ある。すべて儀仗隊が参列した。安倍氏の家族葬のように、政府が関与しない首相経験者の私的な葬儀は個別に行われてきたが、儀仗隊参列は「確認できる範囲において、安倍氏以外はない」(同省陸上幕僚監部)という。 一方、防衛省の前身の防衛庁長官経験者を対象にした家族葬への参列は3例あったという。同省は「元防衛庁長官等の家族葬で、遺族の意向を踏まえ儀仗を実施した」と説明し
立憲民主、国民民主、共産、れいわ新選組、社民の5野党などは18日、憲法53条に基づく臨時国会の召集要求書を衆参両院の議長に提出した。安倍晋三元首相の国葬や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題、物価高、新型コロナウイルスの流行「第7波」などについて、質疑が必要だと訴えた。ただ、岸田政権は閉会中審査で対応する方針で、早期召集には否定的だ。 立民の馬淵澄夫国対委員長は細田博之衆院議長に要求書を提出後、記者団に「国会議員が夏休みを取っている場合ではない。今月にも臨時国会を開き、(年末まで)4カ月の会期を強く求める」と強調。共産の山添拓参院議員は「あらゆる分野で課題が山積している。要求に応じないのは許されない」と訴えた。野党側は改造内閣の新閣僚の所信をただす必要もあるとしている。日本維新の会は提出に加わらなかった。 これに対し、自民党の高木毅国対委員長は18日、国会内で記者団に、21日まで休暇に
安倍氏の国葬は9月27日に行われる。費用は明らかになっていないが、各国から首脳級の参列も予想され、多額を要するのは必至。政府が半額を負担した中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬(2020年)は、首相経験者の葬儀としては過去最高の約1億9000万円だった。 税金などの詳細な使い道は、国民の代表者で構成される国会の議決に基づいて決めなければならないというのが「財政民主主義」の原則だ。一方、政府が国葬の財源に充てる方向の予備費は、憲法87条が「予見し難い予算の不足に充てる」目的で、あらかじめ使途を定めず計上することを認める予算。内閣の判断で支出し、使った場合は国会の事後承諾を得る仕組みになっている。 ただ、制度の主眼は自然災害など急を要する事態に備えることだ。野党からは「災害対策などに予備費執行はあり得るが、国葬はわけが違う。国会が関与すべきだ」(立憲民主党の泉健太代表)などと疑問の声が上がる。
政府が安倍晋三元首相の国葬を閣議決定したのは根拠が不明確として野党が説明を求めていることに関連し、吉田茂元首相の国葬後の1960年代の国会論戦で、当時の自民党の閣僚たちが国葬について「何らかの基準が必要」「検討が必要」と答弁していたことが国会会議録から分かった。しかし、基準づくりは進まず、今回も根拠が曖昧なまま国葬は行われる。(大野暢子、山口哲人) 会議録によると、吉田氏の国葬(67年10月31日)の翌年の68年5月の衆院決算委員会で、社会党議員が「政府の思い付きで(国葬を)やることは承服できない。国会、国民が納得する(対象者の)基準を発表する必要がある」と質問。水田三喜男蔵相(当時)は「何らかの基準をつくっておく必要がある」と答弁した。 69年7月にも別の社会党議員が参院内閣委で、65年に死去した池田勇人元首相を挙げ「吉田氏と同じ首相をやっても何もなかった。ある程度の基準に基づいて国葬を
自民党の福田達夫総務会長は29日の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と同党所属議員との関係が取り沙汰されていることについて「正直に言う。何が問題か、僕はよく分からない」と述べた。 霊感商法などで批判を浴びる旧統一教会の政治関与を巡っては、国会議員を「広告塔」として利用することで社会問題化をかわす狙いがある、との指摘が野党から出ている。 福田氏は会見で、自民党組織としては旧統一教会から政治的影響を受けていないとの認識を示した上で、野党やメディアの動きを念頭に「(個々の議員との接点を)取り立てて『問題だ』ということが、本当に何か物事を良くするのか。僕は極めて疑問に思っている」と強調。「どんな意図でやっていらっしゃるのだろう」と指摘し、不快感をにじませた。 旧統一教会関係者による国会議員の選挙応援については、自由意思に基づいている限り保障されるべきではないかとの考えを示した。「そうい
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