こないだの放送で説明しようと思っててできなかった話に、「教科書」の話題があったことを思い出したので書き付けておきたい。多くの大学生にとって、講義を受けるに当たっての教科書のコストというのは割と半端なくて、例えば甲南大学では平均すると3万円から4万円の教科書代がかかるのだという。このコストは事前に明示されることは(特に文系の場合)ほとんどなく、いざ講義を受けようと思ったところで示される場合が多い。保護者の経済状況の変化から学費を払えずに中退する学生が増えているという話は注目されても、カネがなくて教科書を買えないという話は、学生の怠慢扱いされてしまうので、あまり取り上げられることがない。 そもそも教科書代が高いのはなぜか。そこには構造的な問題があって、まず指摘しておかなければならないのは、教材の開発、つまり教科書を書くことが、研究者の業績の一部として認められているということ。教科書執筆は、研究
皆さんはいつの時代にも戻れるとすれば、いつの時代に戻りたいだろうか。 私は江戸時代だ。理由は、ゆったりとして町が明るそうだから。あれほど町人が楽しそうで生き生きとしていた社会はほかにあるだろうか。欧州の中世は陰鬱になるし、米国には存在しない。 江戸時代が豊かで平和で幸せであった理由は何か。戦争がなく、政治体制が安定していたから平和であったのだが、もうひとつ平和な理由があった。それは、人生における幸福の評価軸が変化しなかったことである。 江戸時代には、質的な技術革新は目覚しいものがあったが、本質的な社会構造やライフスタイルは変わらなかった。その同じライフスタイルの中で、質を高め、幸福を高めて行ったのである。個人にとっては、生まれ故郷から都市へ放り出されるかどうかは大きな運命の分かれ道であったが、マクロ的には、この構造自体が安定していた。16世紀から17世紀の公共事業革命による農業生産力の大幅
『図書』は大勢の知的好奇心あふれる読者に1938年の創刊以来愛読されてきた「読書家の雑誌」です。 古今東西の名著をめぐるとっておきの話やエピソード、心を打つヒューマン・ストーリー、旅のときめき体験、人生への思索などを綴る、滋味あふれるエッセイの数々。 文学・芸術・学問の面白さを語る対談・座談・インタビュー。若手からベテランまで『図書』ならではの一流の執筆陣が書き下ろす文章の力と味わいは、日常生活にピリッと刺激を与えるスパイスの働きをするはずです。 魅力的な本との出会いの場、読書の新しい愉しみ発見の場として月刊『図書』の定期購読をおすすめいたします。 巻末の新刊案内は岩波書店の出版活動の最新情報をいの一番にお届けする「読者と岩波書店を結ぶホットライン」です。 綴じ込みの〈書籍注文ハガキ〉もご利用ください。
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