《研究動向》 野別研究動向(理論) 領域の媒介 北 田 暁 大 は じ め に 2001年から 2003年にかけての理論社会学の動向を著作を中心としてレビューせ よ,というのが編集委員会から評者に与えられたテーマである .どの 野につ いても,一人の人間が研究動向をフォローアップするのは難しいわけだが,理論社 会学という「 野」については,その困難が際立ってくるように思える. ふつう領域社会学と呼ばれるものは,その対象=領域が現実の社会内カテゴリー として存在している.家族社会学なら家族,都市社会学なら都市といった具合に. しかし,理論社会学の領域たる「理論」はそういった意味での社会内カテゴリーで はない.私たちは社会のなかに家族や都市を見出すようには,理論という存在者を 見ることはできない.また,数理社会学のように,社会 析の方法によって理論社 会学の内包と外 を画定することもできない
タイトル別名 Social System Theory and the Development of Sociological Theories : Parsons’ Theory and the three theoretically outstanding issues デュルケムとウェーバーの「社会」と「行為」についての概念化を、パーソンズは「社会システム論」を 使うことでうまく統合し、社会学理論を前進させた。パーソンズの「構造-機能主義」の隆盛は、冷戦期 におけるアメリカの優位とソ連の劣勢を理論的に説明しえたことによる。 パーソンズ以降の社会学理論に残された課題は、(1)グローバリゼーションの現状と「境界維持システ ム」概念が乖離していること、(2)「コントロール・ハイアラーキ―」概念は「価値・規範要素」を偏重 しているので、現実の集団・組織の作動や社会変動の発端を考える上で問題が
行為者は知識主体であると同時に認知対象でもあり、道具の利用者であると同時に自分自身が手段であり、他人に愛情を向けると同時に他人から愛情を向けられ、評価主体であると同時に評価の対象でもあり、象徴の解釈者であると同時に自分自身が象徴である。 これらの前提から、相互行為の二重偶然性という基本命題が演繹される。一つの行動単位として見たとき、行為者が目標を達成できるかどうかは、環境にある諸対象をうまく認知し操作することができるかどうかによって変わってくる。これは動物にも人間にも同様に言えることである。しかし、相互行為に登場する最も重要な対象というのはそれ自体が行為者であるから、目標達成は相手側の行為者がどんな行為をするか、どんな介入をするかによっても変わってくるのである。おそらくこの二重偶然性の含意を最も洗練された形で分析しているのがゲーム理論だろう。もちろん、相互行為に参加する単位の数が増えると、
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く