男女の性の営みを描き、江戸時代に流行した「春画(しゅんが)」に熱い視線が注がれている。東京都内の美術館で九月に始まった国内初となる本格的な春画展には、主催者側の予想を超えるペースで観客が来場。男性ばかりでなく、女性の来場者も目立つ。明治時代以降、日陰者扱いされてきた春画も、百数十年の時を経て復権しようとしている!? (森本智之) 東京・目白台の静かな住宅街にある民間美術館「永青文庫」。旧熊本藩主・細川家の文化財を展示し、年間来場者が二万人ほどの小さな施設に異変が起きている。九月十九日に始まった春画展は当初約三カ月の会期で八万人の来場を見込んだが、最大五十分待ちの行列ができるほどにぎわい、来場者は二カ月余で十四万人に達した。 平日の夕方、永青文庫を訪ねた。小学校の教室よりも小さそうなこぢんまりとした展示室が三つ。二重三重の人垣がショーケースをじっと見つめる。視線の先には組んずほぐれつする男女