東日本大震災による天井崩落事故で多数の死傷者を出し、閉館した東京都千代田区の九段会館が取り壊されることになった。一九三四年に軍人会館として建設され、三六年の二・二六事件では戒厳司令部が置かれた歴史を持つ会館だった。老朽化もあって震災後の営業再開はできず、「帝冠様式」と呼ばれる特徴ある建物が姿を消す。取り壊し後は、民間資本による新たなビル建築が予定されている。 (新開浩) 会館は鉄筋コンクリートづくり地上四階、地下一階。「帝冠様式」の外観は、洋館ながら日本の城のような屋根が特徴だった。戦後は一時、連合国軍総司令部(GHQ)に接収された。土地と建物が国に返還された後、五三年から日本遺族会に無償で貸し出され、同会がホテルや事務所を運営してきた。 震災が発生した二〇一一年三月十一日、専門学校の卒業式の最中に天井が崩落。女性講師二人が死亡し、約三十人が重軽傷を負った。日本遺族会は翌四月、ホテルの営業
世界文化遺産に登録される見通しとなった「富岡製糸場と絹産業遺産群」に関する資料が、横浜市内で開かれている「横浜絹回廊」で展示されている。市内の県立歴史博物館、横浜開港資料館、シルク博物館の三館が、生糸貿易の港として栄えた横浜と絹産業の歴史を紹介する企画展で、来館者の関心を集めている。 (杉原麻央) 神奈川県立歴史博物館の「繭と鋼~神奈川とフランスの交流史」(六月二十二日まで)で注目の資料は、明治十年ごろ、富岡製糸場が出荷した生糸に添付されたフランス輸出用のラベル。富岡製糸場を一時経営した横浜の実業家、原富太郎が生糸の直輸出を手掛けた「原輸出店」発行のポスターには、富岡製糸場の建物が描かれている。 全国の産地での製糸業の様子を明らかにする横浜開港資料館の「蚕の化せし金貨なり~明治大正の生糸産地と横浜」(七月十三日まで)では、富岡製糸場の浮世絵を展示した。富岡製糸場をモデルにした三重、長野県の
トップ > 特集・連載 > 変わる知の拠点 > 記事一覧 > 記事 【変わる知の拠点】 出版業界と連携広がる 減る読書人口 敵対より協力を Tweet mixiチェック 2014年4月2日 図書館と書店の連携について話し合ったシンポジウム=東京都内で 図書館と出版社、書店が、互いに連携を模索する動きが広がっている。図書館はこれまで「無料貸本屋」と揶揄(やゆ)され、出版業界から敵視されることも多かった。だが本の売れ行きが下降線をたどり続ける中、両者の“共通の敵”となったのは読書人口の減少。共闘することで、出版文化の底上げを図ろうとしている。 (中村陽子) 「図書館栄えて書店滅びる、ではいけない」。出版社や書店の関係者らでつくるNPO法人「本の学校」が、東京都内で開いたシンポジウム「街の本屋と図書館の連携を考える」。前鳥取県知事で慶応大教授の片山善博さんが、図書館行政に携わった経験をもとに持
東京都が都民から募るなどして集めた空襲資料五千四十点が十五年以上、たなざらしとなっている。資料を展示するはずだった都平和祈念館(仮称)の建設計画が凍結されたためだ。本紙が都に情報公開請求し、初公開された資料目録には、被害の生々しさを伝える遺品が数多く含まれていた。遺族らは「人の目に触れなければ、戦争の悲惨な実態が若い世代に伝わらない」と危機感を募らせている。 (奥野斐) 焼け残った衣服や空襲後の写真、安否確認の手紙…。目録には被災状況や人々の思いを伝える資料のほか「東京町会公報」「帝都防空本部情報」など行政、軍関連の書類も並ぶ。 「死亡・罹災(りさい)証明書など、寄贈した人は強い覚悟や思いを持って託したはず。軍や行政の資料は公開されているものも少なく貴重だ」。目録を見た祈念館「建設をすすめる会」世話人の一人、高岡岑郷(しんごう)さん(79)は話す。会は十七日、舛添要一知事宛てに早期建設など
NHK経営委員を務める作家の百田(ひゃくた)尚樹氏が東京都知事選の応援演説で、東条英機元首相らA級戦犯を裁いた東京裁判に疑問を呈し、南京大虐殺を否定するなどしたことについて、在日米大使館(東京都港区)の報道担当官は八日、取材に対し「非常識だ」と批判した。米政府の公式の統一見解としている。 南京大虐殺の否定については、中国外務省も五日「侵略戦争下で起きた残忍な犯罪」として発言を非難。アジア太平洋の有力メディアも相次いで報道するなど海外でも波紋が広がっており、追及の矛先が安倍晋三首相の任命責任に向かう可能性もはらんでいる。 百田氏は三日、都知事選に立候補した元航空幕僚長の田母神(たもがみ)俊雄氏の応援演説をした際、米軍による東京大空襲や原爆投下を「大虐殺」とした上で「東京裁判はそれをごまかすための裁判だった」と述べた。
日本ロック界の草分け的存在で、解離性動脈瘤(りゅう)のため昨年十二月三十日、六十五歳で亡くなった音楽プロデューサーの大滝詠一さんをしのぶコーナーが、自宅のある瑞穂町の町立図書館に設けられた。「地元のヒーローをたたえたい」と企画され、期間を決めず当分続ける予定という。 (小松田健一) ロビーの一角に設けられ、テレビドラマ「ラブジェネレーション」の主題曲「幸せな結末」や、小林旭さんの「熱き心に」、森進一さんの「冬のリヴィエラ」など、大滝さんが楽曲を提供したアーティストのCD約二十枚のほか、大滝さんのヒット曲「君は天然色」を収録したLPレコード二枚がある。 サインも飾られている。町職員が私的に書いてもらったものを所有していることが分かり、借り受けた。バンド「はっぴいえんど」を解散後、大滝さんが自ら立ち上げたレーベル名「ナイアガラ」と英語で書かれている。大滝さんは晩年、ファンの前に姿を見せることは
「文書館ってすごい!II」。自らそうアピールする強気なタイトルの企画展が、千葉市中央区の県文書館で開かれている。身近な「図書館」に比べ、いまいち何をしているのか分かりにくい文書館。威勢のいいたんかを切るほどのすごさとは一体何なのか。確かめに行ってみた。 (内田淳二) 県文書館は、県庁のすぐそばにある七階建ての建物。県総務部の出先機関で、今年でちょうど開館二十五周年を迎えた。「文書から、地域の歴史や文化をすくい上げるのがその役割です」。文書館県史・古文書課の田島新(あらた)さんはそう紹介する。 所蔵する資料は膨大だ。県内の旧家の蔵などから見つかり、譲り受けた古文書は四十七万点に上る。資料の散逸を防いで「保存」するだけでなく、「公開」するまでがその仕事。目録を頼りに請求すれば、資料に目を通すことができる。
トップ > 特集・連載 > 特定秘密保護法案 > 記事一覧 > 記事 【特定秘密保護法案】 <ウォッチ>「国家の安全に優先せず」 「法案批判は放送法違反」 Tweet mixiチェック 2013年11月10日 「知る権利」が国家の安全に優先するとの考えは間違い。法案に批判的なテレビキャスター発言は放送法違反-。特定秘密保護法案をめぐり、自民党の閣僚経験者や政権幹部から、国民の知る権利や報道の自由を軽視するかのような発言が続いている。法案は知る権利と報道・取材の自由に十分配慮すると規定しているが「うわべだけのものだ」との声も上がる。 自民党の特定秘密保護法案に関するプロジェクトチーム座長を務める町村信孝元外相は、八日の衆院国家安全保障特別委員会で「(知る権利が)国家や国民の安全に優先するという考え方は基本的に間違いがある」と発言。「『知る権利は担保しました、しかし個人の生存が担保できませ
国会の東京電力福島第一原発事故調査委員会(国会事故調、解散済み)がまとめた報告書をかみ砕いて分かりやすく説明するイラスト動画を学生たちがつくり、インターネットで公開した。報告書は分量が膨大な上、専門的な内容を含む。短時間で要点をつかめる動画を通して、できるだけ多くの人と事故の教訓を共有することを目指している。 (宮尾幹成) 国会事故調は政府から独立した調査機関として設置され、昨年七月に報告書を衆参両院議長に提出した。報告書には事故の原因や背景の分析、政府や国会に向けた提言が盛り込まれた。
弥生時代の代表的な遺跡「登呂(とろ)遺跡」(静岡市)の発掘調査報告書など、約六万三千冊に上る国内の貴重な考古学関連資料が、公開されることなく民間会社の倉庫に眠っている。所有する日本考古学協会が保管施設を持っていないためだ。協会は公募で英国の研究機関に贈ることを決めたが、研究者らが「知的財産の海外放出だ」と反対し、再び保管先を探す事態になっている。 (岩岡千景) 埼玉県所沢市にある物流サービス会社の倉庫。「奈良県」「青森県」などと分類した白い段ボール箱がびっしりと並ぶ。箱の中には戦後、発掘に汗を流してきた研究者らが協会に寄贈した報告書の原本や、著書などが入っている。 貴重なものでは、戦後間もない一九四七年から発掘が始まった登呂遺跡の報告書原本や、各地の洞穴(どうけつ)遺跡(住居跡や墓地など)に関する六〇年代の調査報告書などがある。日本では遺跡の多くが都市開発時に発見され、調査を終えると大半が
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