西日本新聞に掲載された遺稿『歴史と人間を描く』を含む、 単行本未収録のエッセイ集が幻戯書房より刊行されます。 古書を入口に、百年前の日本へ思いを馳せる。日露戦争、大逆事件、二つの世界大戦 ……時代のなかで忘れられた人々の姿を生々しく描き出す、「小さなエピソード」の 数々。惜しまれつつも急逝した評伝作家(ヒストリー・オーサー)が、歴史を読み、 書くことの魅力をつづる単行本未収録エッセイ集。1999年から2011年まで新聞雑誌に 発表された28篇を収録。 (本文より)こうして百年後からふり返ってみると、信じられないほど、生々しいエ ピソードばかりである。戦争と新聞、政治とジャーナリズム、大衆の欲望とそれを煽 動するメディア。現在にも通じるこれらの原型は、すべて百年前のこの時点で胚胎し ていたのだ、と痛感せずにはいられなかった。そして、歴史におけるターニング・ポ イントとは、その時代を生きた人間
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