「まさか、また本が書けるようになるとは思わなかった」 かみしめるように数年間の闘病を振り返る。表情は明るい。 東アジアとの関係を軸にした日本近現代史が専門で、2007年から地方公立大学に勤務した。11年に刊行した『中国化する日本』が評判に。だが、14年春、うつ状態と診断された。一時は「人と話すのも音楽を聴くのも苦痛。本も読めず原稿も書けない」状態になった。 17年に執筆を再開できたのは「幸福な偶然」が続いたから。本が読めるようになって通った図書館で、「本、読んでいます」と励まされた。「そうだ、本を何冊も書いていたんだと思い出した」。デイケアでは病気の経緯を話したり、文章にしたりする機会があった。米大統領選でトランプ氏が当選すると、「日本だけが駄目なんじゃないと妙に元気が出た」という。 『中国化する日本』は、優勝劣敗の自由競争をいとわず、政治は強い指導者に一任するといった形で日本社会の「中国
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