学校や公民館の廃虚が点々と残る石巻市雄勝町の中心部。がれきを処理する重機の作業音はやみ、太鼓や横笛の音色が響き渡った。 にぎやかな音が聞こえたのは東日本大震災で被災した新山(にい・やま)神社。神社本庁(東京)の支援で本殿が再建され、4日、完成を祝う祭りが開かれた。 境内には震災後は離ればなれに暮らす住民たちが集い、国の重要無形民俗文化財の雄勝法印神楽が奉納された。「震災前のにぎわいを取り戻したようだ」。35年間宮司を務める小田道雄さん(80)が目を細める。 ■ご神体見つかる 真新しい本殿と鳥居からはヒノキの香りが漂う。伊勢神宮が敷地の木材を特別に無償提供した。「お伊勢さんのヒノキだなんて感無量だ」。18年前から氏子の総代長を務める遠藤卯之助さん(85)は感慨深げだ。 本殿が建つ高台からは、青く穏やかな雄勝湾が見渡せた。あの日、20メートル以上の津波が集落を襲い、中心部の9割以上が