先の通常国会では、データ問題を端緒として、裁量労働制をめぐり激しい議論が交わされた。 裁量労働制は、業務の遂行方法に一定の裁量が与えられていることが条件となって適用されるものである。今回は、業務に裁量を持っている労働者について、その労働時間は長くなる傾向があるのかどうかを分析し、裁量労働と労働時間の間にあるメカニズムを解明したい。 使用するデータはリクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」である。JPSEDには、労働時間や業務上の裁量の有無に関する質問がある。労働時間については平均的な1週間の労働時間を聞いており、業務上の裁量については、「昨年1年間における、あなたの仕事に関する以下の項目についてどれくらい当てはまりますかー(4)自分で仕事のやり方を決めることができた」という設問に「あてはまる」から「あてはまらない」まで5段階で聞いている。 まず、裁量の程度と労働時間
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