いったい、福島の話をどうやって伝えればよいのだろう。いったい、何がどうなって、これほど事態はこじれてしまったのか。 私(山下)が福島第一原発事故の避難者と向き合い始めて2年半。この間に知り合った原発被災者・市村高志氏と、同じく社会学者の佐藤彰彦氏の二者とともに語り合い、原発避難の真相を避難当事者の声をもとに綴ったのが2013年11月に出版した『人間なき復興』だ。 本書のキーワードは「不理解」である。ふつうは「無理解」だろう。あえて「不理解」という奇妙な語を使ったのにはわけがある。 原発避難をめぐって生じているのはどうも「無理解」ではない。みなこの原発事故・原発避難については関心があり、一定の理解を示している。だがどうも、その理解では駄目なのだ。理解したつもりになっていることが、本当の理解ではないために、避難者のためとされて行われているものが「これは自分たちのためではない」ということが生じて
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