農業・環境問題の研究や活動で国際的に高い評価を得ているヴァンダナ・シヴァ。 『食糧テロリズム』という挑発的なタイトルが私の関心を強く惹きつけた。 食品商社で働きながらも多国籍企業の活動に批判的だった私にとって、シヴァが書こうとしたことはある程度推測できた。 いや、推測できたつもりだった。 風邪気味で寒気がする私は毛布を体じゅうに巻きつけてページをめくり始めた。 そのショッキングな内容は私を強く惹きつけて離さず、24時間以内に読み終えてしまった。 原書タイトルは “ Stolen Harvest : The Hijacking of the Global Food Supply ” 。 2000年にアメリカで出版されたのが初出であり、このたびめでたく邦訳が完成した。 「盗まれた収穫」とあるように、世界の農民の98%が生活する第三世界において、1万年以上かけて品種改良された多様な種子が強奪され