凄いSFを読んだ……いや、本作をSFという括りで十把一絡げにしてしまうのは勿体無い。これはジャンルの枠組みを超え、物語が担う役割の本質を、一人の老人の一人称という形をとって我々に伝える稀代の名著だ。 “テラフォームされたアフリカ”というあまり普遍性が無い設定ながらも、普段から読書やSFに慣れていない人間にも強く推薦できる、本物の「小説」である。 本作には(狭義の)宇宙人や、ロボットや超能力者などといったものは出てこない。逆に、潤い、しっとりとした物語を全面に押し出し、文学的に解釈できる要因を大きく抱いている。SF的な要素は本筋を引き立たせる味付けにすぎず、内容的にはむしろ日本文学に近しいものがある。 選択する事や伝統について迷った覚えがある人にこそ、ぜひ本作を強く推したい。何故ならば、これは選択の意味合いと民族主義について声高に訴えかける物語であるからだ。もしくは、SF的な側面から読
前の記事 米メディアがだまされた「商工会議所の記者会見」(動画) 「感覚遮断」で幻覚出現:情報源の判断エラー説 2009年10月26日 Hadley Leggett Image: daveknapik/Flickr 実際にはそこにない色や物体が見えるようになるのに、幻覚剤は必要ない。感覚をほぼ遮断した環境にほんの15分間ほど身を置くだけで、精神的に正常な人の多くが幻覚を見る可能性があるという研究結果が発表された。 研究では、健康な被験者19人を、光と音を完全に排除した感覚遮断室に15分間入れた。その結果、通常なら脳に絶えず押し寄せている感覚情報を絶たれた被験者の多くが、幻覚や妄想、抑うつ感を経験したと訴えた。 この実験結果は、脳が自らの経験していることの出所を正しく認識できない場合、幻覚症状が現われるという仮説を裏付けるものだ。このような概念は、研究者の間で「ソース・モニタリングの誤り」と
【1976年1月14日】 ・ですから、規律的メカニズム体系が私たちの自由を奪うという事態に対し、つまり科学的知と結びついた権力の台頭に対して、私たちが持っている一見堅固な唯一の拠りどころとは、まさに主権をめぐって組織されたあの旧い原理につながる法に訴えること、法への回帰であるというような状況に私たちは現在置かれているのです。じっさい規律実践や規律実践に結びついた知と権力のすべての効果に対し、私たちが何らかの反対を唱えたいとき、私たちは具体的に何をするでしょうか。ひとは実際に人生において何をするでしょうか。司法官組合やその他の同様の団体はどうするでしょうか。まさしく、ほかでもないあの形式的でブルジョワ的な方散る、じっさいは主権法である法律に訴える以外何ができるでしょうか。私は思うのですが、ひとはこのような首をしめられる袋小路にいて無限定にこうしたことを続けていくことはできないのです。規律に対
シンプルで使いやすい北欧の家具は日本でも人気が高い。いまや一過性のブームを超えて、スタイルのひとつになっているが、なぜ北欧デザインが日本で人気を集めたのだろうか? 先日、スカンジナビア政府観光局が「デンマークデザインは地球を救うか」と題したセミナーを開催。デンマークに本社を置く北欧最大のデザイン/ブランディング会社コントラプンクト社代表のボー・リンネマン氏が、北欧デザインとその未来について語った。 北欧デザインというと、まず思いつくものが椅子などに代表される家具のデザイン。いまや世界的によく知られているが、とくに日本での売れ行きが好調だという。その理由についてリンネマン氏は、 「北欧のデザインには、1900年初頭にドイツに設立された美術学校、バウハウスのモダニズムがいまも息づいています。そしてそれは日本の伝統にも着想を得ているんですよ」 そんなルーツが北欧デザインに日本人が親しみを感じる理
Author:くるぶし(読書猿) twitter:@kurubushi_rm カテゴリ別記事一覧 新しい本が出ました。 読書猿『独学大全』ダイヤモンド社 2020/9/29書籍版刊行、電子書籍10/21配信。 ISBN-13 : 978-4478108536 2021/06/02 11刷決定 累計200,000部(紙+電子) 2022/10/26 14刷決定 累計260,000部(紙+電子) 紀伊國屋じんぶん大賞2021 第3位 アンダー29.5人文書大賞2021 新刊部門 第1位 第2の著作です。 2017/11/20刊行、4刷まで来ました。 読書猿 (著) 『問題解決大全』 ISBN:978-4894517806 2017/12/18 電書出ました。 Kindle版・楽天Kobo版・iBooks版 韓国語版 『문제해결 대전』、繁体字版『線性VS環狀思考』も出ています。 こちらは10刷
岩波文庫で今年8月に新訳が出ていた。タイトルはかなり有名な本なれど、これまで読む機会がなかった。半日でむさぼるように読了。 革命の英雄であった主人公は、ある日突然逮捕され、尋問され、やがて「人民の敵」として罪を自白し処刑される――その過程をえがいた政治的寓話の傑作。刊行されたのは『1984年』よりも前だったのですね。尋問シーンはオーウェルにも大いに影響を与えていると思うが、大きく違うのは「党/体制」側の人間の描き方。スターリニズムの公式イデオロギーと、〈党〉の論理の語らせかたにリアリズムがあるから、同じイデオロギーと思考法を持つ主人公が、いかに論理的に追い詰められてゆくのかをきちんと描いている。オーウェルのように「この指は何本に見える」なんて言わせていない。 茶番劇としての自覚が双方にあり、いかにきれいにゲームを終わらせるか、冷酷無比な政治の論理のなかで、ともにオールド党員である主人公と検
米国と中東について ハウズヒーン・O・カリームによるノーム・チョムスキーのインタビュー 『コーマル新聞』2004年1月2日 (翻訳:寺島隆吉+岩間龍男+寺島美紀子、公開2004年3月22日) 米国政策への批判者としてあなたはどんな政治的派閥に属していらっしゃいますか。 あなたの著作のいくつかで、あなたは言いました。米国の権力が大きくなっているので将来の希望は全くないと。何故あなたは悲観的な人間なのでしょうか。 あなたをイスラエルに反対するもっとも過激なアメリカ人だと批判する人がいます。またユダヤ人としてあなたは自分自身を憎んでいるのだという人もいます。どのようにしてあなたはイスラエルを批判するようになったのでしょうか。 米国政策への批判者として、あなたはどんな政治的派閥に属していらっしゃいますか。 民主党か共和党かという意味でなら、答えはどちらでもありません。 米国は基本的にはひとつの党し
不確実な時代をクネクネ蛇行しながら道を切りひらく非線形型ブログ。人間の思考の形の変遷を探求することをライフワークに。 ここ最近、僕の興味の的となっているのは、ジョルジュ・バタイユと折口信夫。 「2009-07-11:東京国際ブックフェア」でもこの2人に関する本が含まれていました。 この2人に共通するキーワードは「古代」そして「生」。 2人とも歴史以前、文字以前の古代に焦点をあてながら、人間いや生命について考えている。 このあたりはいずれまとめてみたいと思っていますが、今日はバタイユの『エロティシズム』という著書から、こんな文章を引用。 生は、その全体から眺めてみると、再生(生殖)と死が織り成す巨大な運動である。生は絶えず生みだすが、しかし自分が生みだしたものを無化するためにそうしているのである。 バタイユは生というものを本質的に過剰に浪費するものとしてみています。その経済においては生産より
雑誌『POSSE』http://npoposse.jp/magazine/index.htmlのvol.4に、「サルトル──ストライキは無理くない!」という文章を書きました。これは、サルトルが1952年に発表した論文「共産主義者と平和」を手がかりに1952年のフランスと現代日本の状況を比較し、政治・暴力・大衆の問題について考察した論文です。 サルトルの「共産主義者と平和」という論文は、サルトルがソ連と共産党をアツく擁護し、その「同伴者」となるきっかけとなった論文で、ある意味でとても評判の悪い論文です。ところが、今読んでみると、とても面白いのですね、これが。というわけで、一部を紹介します。 「一人の経営者がタイピストを必要とする。それこそ危機である。三十人の女性が、同じ能力をもち、同じ資格免許状をもって、応募する。経営者は彼女らみなをいっしょに呼び出し、彼女たちが望む報酬を自分に知らせるよう
A.スマナサーラ長老の法話(説法)をポッドキャスト配信中。 [RSS feed]※このリンクをiTunesなどにドラッグして下さい。 現代の諸問題にブッダの智慧で答えます。 提供: 日本テーラワーダ仏教協会 2008年10月25日ゴータミー精舎で開催されたスマナサーラ長老「ヴィパッサナー瞑想と法話の会」初心者の方との質疑応答より。 幸福も不幸も自分が決める Q 仕事をしていて過去のことを思い出したり、嫌なこと、失敗を思い出したり、将来を心配してしまったりして、目の前の仕事に集中できないことがあります。どうすれば、いまに集中できるでしょうか? A 瞑想で最初に解決するのはそういう問題です。瞑想実践で悪い癖を直せば、ほとんど、人間にとっての問題は解決すると思います。私たちは自分の運命のことを、自分で考えているのです。別にどこかの誰も自分の運命、幸福、将来性、誰も管理しているわけではない。自分で
これは Google に保存されている http://sayuri.tanakanews.com/flag.htm のキャッシュです。 このページは 2009年3月30日 09:01:24 GMT に取得されたものです。 そのため、このページの最新版でない場合があります。 詳細 大門小百合のハーバード日記(21) ケネディスクールの国旗騒動 2001年5月12日 ことの始まりは昨年の夏のケネディスクールの入学式にさかのぼる。新学期を迎えケネディスクールでは、入学した100以上の国から来た生徒たちを歓迎するため、それぞれの生徒たちの国旗が飾られた。 次の日、それぞれの生徒たちが、持ち時間15秒で自己紹介をしたのだが、自分の番がきて立ち上がった台湾の女性が、こう訴えたのである。入学式に掲げられた旗の中に台湾の旗がなかった。皆さんに我々の旗を知ってもらうためここに旗を持ってきたと。なんと彼女の
ヴィクトール・エミール・フランクル(ドイツ語: Viktor Emil Frankl, 1905年3月26日 - 1997年9月2日)は、オーストリアの精神科医、心理学者、ホロコースト生還者。著作は多数あり日本語訳も多く重版されており、代表作は『夜と霧』。患者が自ら生きる意味を見出す手助けを施すことにより、精神障害を克服する心理療法「実存分析」(のちにルートヴィヒ・ビンスワンガーによりロゴセラピーと改められる)を提唱した[注釈 1]。 来歴[編集] 1905年にウィーンに生まれる。ウィーン大学在学中よりアドラー、フロイトに師事し、精神医学を学ぶ。 ウィーン大学医学部精神科教授、ウィーン市立病院神経科部長を兼任。「第三ウィーン学派」として、独自の「実存分析」を唱え、ドイツ語圏にて広く知られた。フランクルの理論にはマックス・シェーラーの影響が濃く、マルティン・ハイデッガーの体系を汲む。精神科医
ドイツ反G8アクション 咆哮する連合(コアリション) 自由と多様性が開花する反グローバリゼーション運動 矢部史郎 2007年6月6日から8日にかけて、ドイツでG8サミット(先進国首脳会議)が開催された。アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、日本の政府首脳が一堂に会して、国際支配のための政策協調を確認する会議である。これに対して、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、アジアの各地から、多くの社会運動と活動家が集結し、大きな反対運動を繰り広げた。 5月下旬、私たち「No! G8 Japan」のメンバーはドイツに入った。まず私たちはベルリン市のスクワッターハウス(占拠住宅)に身を寄せて、情報収集と物資の調達をした。ベルリンには世界各地からやってきたアナーキストとオートノミストが集っていた。スクワッターハウスでは小さなパーティーが催され、ミリタント(活動家)たちが酒と音楽
さいきん、チベットについての日記を書いていませんでした。上記の本などは読んでいるのですが、行こうと思っていたチベット関連のイベントに、体調が優れず行けなかったことがあったほかに、いろいろと腹立たしいニュースが多かったからです*1。 これに関しては、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所の記事もお読みください。 http://www.tibethouse.jp/news_release/2009/090120_day.html そしてまた最近のニュース*2…。 ジョカン(大昭)寺では、昨年の抗議行動後の取材ツアーで「チベットに自由はない」と記者団に訴えた僧侶が登場。「他の僧侶にそそのかされてやった。今は中国の法律を勉強した」と態度が一変していた。 このニュースを最初に読んだ時に思ったことは「ああ、逮捕されたあと思想改造されちゃったんだな」と、いうことでした。しかし、なにかが引っかかっていたのです。
一、壁はあまりに高く、強大に見えてわたしたちは希望を失いがちだ。しかし、わたしたち一人一人は、制度にはない、生きた精神を持っている。制度がわたしたちを利用し、増殖するのを許してはならない。制度がわたしたちをつくったのでなく、わたしたちが制度をつくったのだ。 http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2009021601000180_Detail.html 想像力だ。あなたが捕虜を捕らえたとして、捕虜が三メートル四方の獄に入れられる。それでも捕虜の人間は想像力によって自由になれる。イスラエル占領軍にはこれが決して分からない。人々を殺し続け、記憶を抹殺しようとするだけだ。この映画の物語は二つのシンボルを中心に構成している。壁を超えようとする愛と、何でも封鎖する検問所。愛はどんな壁でも通過していくパワーだからね。 [all cinemas go forward
2009年02月04日 22:43 村上春樹さんのエルサレム賞受賞と、筒井康隆さんが論じる文学の政治性について。 寄生獣―完全版 (1) (アフタヌーンKCDX (1664)) ヘウレーカ (ジェッツコミックス) 昨日よりも、体調が急激に悪化し、全身に酷い疲労と倦怠感があり、背中が物凄く痛くてたまりません。朝から食事が取れず、一日一食(夕食のみ)になってしまいました。なんとか、生活に規律(朝と晩)を持って生きていられるのは、猫の世話をしているおかげであり、それがなかったら、死んでいるように思います。非常に心身状態酷く、自分の文章があまり書けそうになく、申し訳ございません。今日のエントリのメインは昨日、以下のエントリで触れた村上春樹さんのエルサレム賞受賞についてです。 勇気ある強くて優しく思いやりについて。ダニエル・バレンボイム「無言歌集全48曲」 http://nekodayo.lived
両極化する日本人の人種平等・人権意識 (心ある日本人) 2008-06-14 15:06:51 残念ながら、日本は昔から閉鎖社会だった。江戸時代の鎖国、民の差別 ― 自国民に対する差別・偏見の歴史を見れば、いわんや外国人差別・・・。残念だけど、日本は変わらないと思う。被差別民や弱者を助けると、その助けた日本人まで村八分する空気が、今でも残っている。外からの外人(特に白人種)客に対しては、平身低頭のお客様扱いなのにネ...。白人コンプレックスの対極に、そのはけ口としての、国内差別問題が根深く横たわっている現実を、恥ずかしく思う。日本人の意識は分裂、分断、多様化しているが、差別問題に関しては両極化の一途をたどっている気がする。 「>日本は何時からこんな恥ずかしい事を平気で言える国に…」 (田仁) 2008-06-14 16:55:53 多分、自民の末期現象が出て来た頃からではないかと。 具体的
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