参加者 明治大学 政治経済学部 教授 飯田 泰之氏 PwCコンサルティング合同会社 チーフエコノミスト 片岡 剛士 PwCコンサルティング合同会社 シニアエコノミスト 伊藤 篤 「財政政策とは、政府の負債の規模を決めること」 伊藤: 前回の議論では大幅な需要不足ではないことを踏まえた財政政策が必要ではないか──というところまで話が及びました。一方で世間では日本の財政状況は危機的であると懸念する声も根強くあります。折しも金融政策では変化の兆しが観測されるなか、いま私たちは日本の財政状態をどう考えていけばよいのでしょうか。 飯田: 「財政の危機」という表現は確かにあちこちで使われますが、広く共有された「危機」の定義があるわけではなく、その中身は極めて曖昧です。報道などでは「国の借金」という言葉もよく見かけます。ただしそこで語られる数字にはいくつかの算出根拠があって、「国と地方の公債等残高」は1