70年代に広く読まれた「日本人とユダヤ人」(イザヤ・ベンダサン著)を読み返して日本特有の「法外の法」という言葉に目を引かれた。戦時下ではヤミ米を禁じる法律もあったが、庶民はどこからか手に入れて生き延びた。ヤミ米を拒否して餓死した裁判官もいるにせよ、「満場一致の決議さえ、その議決者をも完全に拘束するわけでない」などと日本人のメンタリティー(心的傾向)を分析しているのは興味深い。 無論、生死を分ける局面なら他国の人もヤミ米に手を伸ばすだろうが、日本人は概して神や戒律とは縁が薄く、ベンダサン氏のようなユダヤ人や欧米人に比べて法にも縛られにくいと言われれば、その通りだと思う。突き詰めると、日本人が何かを決めても、それは外国人が言う「決定」とは趣が異なる場合もあるということだろう。 ここで連想するのは米軍普天間飛行場の移設問題だ。かつて自民党政権も、今の民主党政権も、辺野古(沖縄県名護市)周辺への移