一度だけ会ったことがある(多分むこうはこっちを忘れている)映画評論家の佐藤忠男は、高卒の労働者から投稿マニアとなって、そこから評論家に転じたが、すると出版業界には大卒者が多く、そうした人たちと接したら共産党への愛憎が凄くて驚いてしまったと書いていたことがある。 その前まで彼は一般的な労働者の中にいて、そこでは共産党員というと政治に関心がある人だからと組合の役員に祭り上げられたりした程度だったのだが、それとは違い当時の高学歴者にとって共産党はちょっとした権威で、持ち上げたり批判したりすることは大層な意味をもっていた。それで同世代の映画監督・大島渚も、左翼を自称しながらやけに共産党批判するというわけだ、という趣旨も書いていた。 これが都知事選挙にも反映していて、七十歳とか八十歳の「後期高齢者」である左翼たちが細川元総理を応援し、当の細川陣営が共産党や社民党の応援は要らないと明言しているのに、共