著者ジェームズ・R・フリンは1980年代に発表した論文で、アメリカをはじめとする工業国で、時代とともにIQ(Intelligence Quotient)が上がり続けていることを確かな証拠で示した。人類が過去100年にわたって賢くなり続けているという研究結果は大きな反響を呼び、このIQ上昇は著者の名前から“フリン効果”と呼ばれるている。 フリン効果は、更なる疑問を呼び起こさずにはいられない。なぜ、人類のIQは劇的に向上したのか、21世紀もこの傾向は続くのか、そもそも人類の知能は本当に向上しているといえるのか。本書はIQ研究の世界だけでなく、知能そのもののとらえ方に新たな視点を提供したフリン自身が、様々な時代と地域のデータを丁寧に分析することで上記の質問に答えを出しながら、「時代や場所が人類の知性にどんな影響を与えているのか」を解き明かしていく。 日本でのIQに対する関心は欧米ほど高くはなく、