安保法制のずさんさが露わになり、政府与党も焦っているようだ。憲法学者の意見発言に腹を立てたのか、高村自民党副総裁が、憲法学者は憲法の字面に拘泥するとか、学者の言うとおりにしたら平和は保てるのかと、八つ当たりを言っている。学者に喧嘩を売るなら、喜んで買ってやる。 憲法学者が憲法の言葉にこだわるのは、数学者が「1+1=2」という論理にこだわるのと同じくらい当たり前の話である。高村氏は、権力者の意向で1+1が3にでも4にでもなる独裁国家を作りたいのか。 私は、学者の言う通りにすればみんな幸せになるなどと、驕ったことは言わない。しかし、戦後日本でも、学者が法理に照らして為政者に批判を加えてきたからこそ、為政者は自分たちのやり方を考え直した。憲法9条の下で専守防衛、集団的自衛権不行使などの平和国家路線は、そのようにして生まれたのである。学者が権力への批判をしなかったら、日本はまったく別の国になってい