初出2010年6月ごろ。 カール・シュミット「パルチザンの理論」で、現代ファンタジーのうち、特に絆と世界内戦的状況に重点をおいたものを語ってみるためのメモ。われながらこじつけが過ぎると思うが、誰かの思考の肥やしにでもなれば幸いです。 本文 現代ファンタジーあるいは現代伝奇などと云われる想像力というのは、まずその核心に「中心対周縁」の対立構造をもって現れた。それは大きな物語とそれに包摂されないものという対立関係であり、周縁から中心へと、日常を異化する「不気味なもの」の侵攻という構図をとった。だが、後期近代における社会の脱呪術化がもたらした「平坦な日常」――すなわち極限まで周縁的なるものが排除された世界観は、その「中心対周縁」という構図を無効化した。 しかしながら「平坦な日常」は、その必然として「中心」が存在したがゆえの求心力を失い、分断され、衰退しつつある。そこにおいて世界の連続性は失われ、